ストランディングネットワーク北海道は,2020年11月19日に特定非営利活動法人格を得て,2021年よりNPO法人として活動します。
特定非営利活動法人
ストランディングネットワーク北海道
設立趣意書
1 趣 旨
鯨類(イルカ・クジラ等)は,海洋生態系の最高次捕食者であり,その生態を理解することは,生物多様性維持のための希少種の保護,あるいは人間活動と海洋生態系との共存への模索をおこなう上で重要である。SDG14にも掲げられているように,海の豊かさを守ることが地球規模の持続的成長のために不可欠である。豊かな海に囲まれ漁業が盛んな北海道は,日本の一都道府県としての位置づけにとどまらず,地球上に唯一無二のバイオリージョンである。この北海道で,鯨類生態の解明に貢献することは,学術研究上のみならず社会的にも地球規模の意義がある。
鯨類の捕獲は厳しく制限されているため,ストランディング(漂着,座礁,混獲等)した個体の調査を行い,そこから得られた標本を採取して分析することが,生態解明の重要な手段となっている。北海道周辺海域では,鯨類のストランディングが多発している。ストランディングネットワーク北海道は2007年より任意団体として活動を始め,これまでに可能な限り北海道におけるストランディング調査を行ってきた。2007年から2019年の間に少なくとも23種,約800件900個体のストランディング通報を受け,その半数以上について漂着現場から標本を採取して日本全国の研究機関に配分し,鯨類に関する学術研究に貢献している。例えば,2019年8月には我々の調査・標本を元に,オホーツク海を中心に生息するクロツチクジラが新種として発表された。また,近年,海洋ゴミの問題が注目されるようになり,漂着した鯨類の胃の中から出現する海洋ゴミについても現状把握をおこなう必要がある。鯨類については未解明なことも多く,今後取り組むべき課題が山積している。
今まで任意団体として活動し,学術研究と社会に貢献してきたが,法人化する事によって,情報や活動の持続性を明確にするとともに,行政機関等との密な協働関係を確立したい。
2 申請に至るまでの経過
2007年に任意団体としてストランディングネットワーク北海道を設立し,現在まで活動を続けている。2020年8月に特定非営利活動法人としての設立の趣旨,定款,事業計画及び収支予算,設立の役員などについての案を審議した。
2020年8月12日10時00分より特定非営利活動法ストランディングネットワーク北海道設立総会を開き,発起人より設立の趣旨,定款,2020年度及び2021年度の事業計画及び収支予算,設立当初の役員などを提案し,審議の上決定した。
2020年8月12日
特定非営利活動法人ストランディングネットワーク北海道
設立代表者 松 石 隆
定款 (2020年11月19日施行)