イルカやクジラの座礁・漂着・混獲・河川港湾への迷入など、通常の生息状態ではない状態にあることを寄鯨(ストランディング)と言います。生きたまま座礁・迷入した場合は,うまく扱えば命を救うことが出来ることもあります。鯨類は洋上ではなかなか細部まで観察できないため,死んでしまった寄鯨は貴重な科学標本です。寄鯨調査から新種が発見されることもあります。
ストランディングにであった場合,どのように対処したら良いかを,ここにまとめておきます。
- 生存しているかどうか確認してください。
- 写真を撮ってください。全身,頭部,口,腹,背びれ,尾びれ,状況など。全身写真は,メジャーやペットボトルを写真に入れて大きさがわかる様に工夫してください。
- 体長をなるべく正確に測ってください。
体長はメジャーで測れると一番良いですが,メジャーがない場合は,ペットボトルの高さ (500ml=約20cm,2L=約30cm) を利用して測ることもできます。体長の測定は,その後の対処の準備に重要です。なるべく正確に測定してください。
- 北海道内の場合,ストランディングネットワーク北海道の通報窓口 北海道いるかくじら110番へご連絡下さい。
通報専用電話 090―1380―2336
通報専用メール kujira110@gmail.com
通報フォーム こちら
以下の情報をいただけると助かります。
①写真
②発見日時
③場所(地名,緯度経度)
④状況(頭数,生死,腐敗,食害,流出のおそれ等)
⑤体長(できるだけ正確に)
⑥発見の経緯,通報経路
⑦発見者の氏名等
⑧写真公開の可否,写真に表示する撮影者名(ローマ字表記も)
・関係官庁等への連絡は,当方より遺漏なくおこないます。
・特段のお申し出がなければ,お送りいただいた情報と写真は,発見者,撮影者の姓名を付して,CC BY 4.0ライセンスで公表致します。写真著作権は撮影者に帰属します。匿名希望,著作権のSNHへの譲渡等,ご希望がございましたら遠慮無くお知らせください。なお,メールアドレスや電話番号は,一切公開しませんのでご安心下さい。
※北海道以外の場合は,以下へ連絡し指示を仰いでください。
鯨類漂着一般:国立科学博物館 Tel: 029-853-8901 (担当:田島木綿子先生)
ヒゲクジラの混獲・漂着:日本鯨類研究所 Tel: 03-3536-6521
- 生存している場合,むやみに海に押し返したりせず,まずは専門家の指示を仰いでください。特に以下の点に十分注意してください。
- 座礁個体はパニックになっている可能性があります。むやみに近づいたり触ったりするとパニックで溺水する可能性があります。まずは,座礁個体が落ち着くまでそっと待ってください。
- 噴気口をふさぐと窒息してしまいます。噴気口からの呼吸を確保してください。
- 噴気口に水をかけると,肺炎など致命的なダメージを受けることがあります。体が乾くのはよくありませんが,致命的なダメージにはなりません。
- 暴れるなどした場合,救出する人間が怪我をする可能性もあります。
- 病気を持っている可能性もあります。もしかしたら人間に感染するかもしれません。注意してください。
- 死亡して新鮮な場合,可能でしたら流出を防ぐために陸側に移動させ,鳥やキツネの食害を避けるためにシートなどをかけていただけると助かります。すでに食害や腐敗がひどい場合は,そのまま放置してください。