2016年ストランディングネットワーク北海道活動報告書

2016年の活動をまとめた報告書ができました。こちらよりダウンロードしてください。

2016年に受報した北海道沿岸の鯨類ストランディング情報は63件72頭でした。鯨種別では,ネズミイルカ18件20頭,ミンククジラ10件10頭,カマイルカ7件7頭,イシイルカ3件10頭(イシイルカ型1件8頭,型不明2件2頭),シャチ3件3頭,スジイルカ3件3頭,ザトウクジラ,マッコウクジラ各2件2頭,オウギハクジラ,ザトウクジラ各4件4頭,マッコウクジラ2件2頭,アカボウクジラ,オウギハクジラ,セミクジラ,ナガスクジラ,ハッブスオウギハクジラ,ハナゴンドウ各1件1頭などでした。63件中62件について写真を取得し,また49件(77%)について標本を取得しました。

10月16日,茅部郡森町尾白内町沖定置網において,セミクジラ(SNH16037 950cm ♀)が混獲し,陸揚げ後,仲卸業者が解体して販売されました。北海道内での同種の漂着は2014年6月24日に厚岸郡浜中町に下顎のみが打ち上がった事例(SNH14025 460cm)の報告に次いで2件目です。

2016年はスジイルカの漂着が相次ぎました。スジイルカは2003年7月に標津郡標津町で白骨化した個体の漂着が報告されていた後,2015年7月27日に十勝郡浦幌町において漂着した個体(SNH15032 250cm ♂)まで漂着報告がありませんでしたが,2016年1月11日には釧路市(SNH16002 147cm ♀),6月27日山越郡長万部町(SNH16019 244cm ♂), 8月25日には釧路市(SNH16028 228cm ♂)と相次ぎました。

9月17日,斜里郡斜里町においてハナゴンドウ(SNH16032 288.7cm ♂)の漂着がありました。全身を回収し,翌日東京農業大学オホーツクキャンパスにて剖検に供ししました。本種の北海道での漂着は,2006年10月6日に紋別郡湧別町での漂着が確認されて以来,10年ぶりです。

SNHでは,引き続き道内の漂着鯨類情報および標本採集を行い,鯨類研究に寄与したいと考えています。ご協力のほど,よろしくお願いいたします。

国立科学博物館 田島木綿子博士,山田格博士,東京農業大学 小林万里教授,帯広畜産大学 中郡翔太郎様,羅臼町在住 桜井憲二様をはじめ,ご協力いただきました皆様に感謝いたします。

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