調査車両「フンペヤン号」運用開始

SNHの新しい調査車両「フンペヤン号」が正式に運用を開始しました。これは,今年3月に実施したクラウドファンディングのご寄付で購入した車両です。

車種はトヨタ ハイエースバン DX(9人乗り)初年度登録2014年9月の中古車です。5月初旬に納車後,早速調査に利用しながら,外装に社名や「寄鯨調査」の文字,内装に防汚シート,調査資材棚,天井収納,WiFi,オートクルーズ等を整え,すぐに出動できる体制を整え,本日お披露目となりました。

「フンペヤン」とは「くじらが打ち上がった」という意味のアイヌ語です。

フンペヤン号を利用することで,寄鯨への迅速な対応,調査の効率化,寄鯨調査協力への呼びかけができるようになり,出動・調査の格段の効率化が見込めます。また,定員が増えることにより,多くの調査員を現場に運ぶことができ,後進の育成にも寄与します。フンペヤン号を活用した我々の活動を通じ,情報や標本を広く研究機関に提供し,人類と海洋生態系との共存に資する研究の発展に貢献したいと考えています。

クラウドファンディングにご協力いただきましたみなさまに心から感謝するとともに,引き続きSNHを応援していただければ幸いです。

生きたイルカ・クジラが打ち上がったら

生きたイルカやクジラが打ち上がったら,慌てて海に押し返したりせず,まずは落ち着かせてください。その間に専門家に連絡し,指示を仰ぎましょう。

大切なことをイラストにまとめました。

北海道でイルカ・クジラの漂着を見付けたら,生死に関わらず,ストランディングネットワーク北海道にご連絡ください。
詳しくはこちら

第二目標達成! クラウドファンディングを終了

1ヶ月間のクラウドファンディングが終了しました。ご協力を賜り,大変ありがとうございました。お陰様で,第一目標の100万円をたった5日で達成,第二目標の180万円も最終日に達成し,3月31日23:45現在,207名の方から1,867,250円のご支援を賜りました。

この間,鯨類研究者の方々はもとより,ご近所さんや,高校の先輩,後輩,研究とは関係の無いお友達,執筆した本の読者の方々,などなど,思いがけない方々からも,多くのご支援と温かい応援メッセージをいただき,大変ありがたく思います。約1/3ほどの方は,私どもが存じ上げない方たちのようです。どこかでSNHを知ってくださり,ご支援までいただき,大変ありがたく存じます。

調査車両購入費を用意できたことは,大変ありがたいことですが,こんなに皆様からご応援していただいていることがわかったのが,望外の収穫です。

いつも羅臼方面でのストランディングの際には大変お世話になっている桜井憲二さんには,サポートファンディングで,多大なご貢献をいただきました。桜井さんと桜井さんのサポートファンディング経由でご協力いただいた皆様に,厚く御礼申し上げます。

クラウドファンディング実施中に,「維持費は大丈夫なのか」とのお声をいただきました。継続してサポートしていただける方には,クラウドファンディング終了後も,マンスリー寄付,賛助会員をこちらより受け付けております。ご検討いただけますと幸いです。企業さまには,寄付趣意書もお送りする用意がございます。どうぞお知らせ下さい。

今後,準備ができ次第,リターンを発送致します。また,調査車両調達の進捗も,SNHのホームページやSNSでお知らせします。

ホエールアーティスト あらたひとむ さんに描いていただいた調査車両のイメージを,クラファンのアイコンとして使わせていただきました。左側面にクロツチクジラが描かれているのが見えていましたが,実は,右側面はネズミイルカが描かれているんです。折角ですので,最後にご披露いたします。

皆様の応援を胸に,新しい調査専用車両を活用して,より多くの寄鯨を調査し,鯨類と人類の共存のために活動を続けて参ります。今後とも,引き続き応援を賜りますよう,よろしくお願い致します。

1ヶ月間ありがとうございました。

「淀ちゃん」のような寄鯨(よりくじら)は北海道内だけでも年間100件!寄鯨調査車両購入に支援を!

3月1日より1カ月間,SNHへの支援キャンペーンとして,クラウドファンディングを開催します。https://syncable.biz/campaign/4261

今年1月には,「淀ちゃん」と呼ばれるマッコウクジラの河川迷入後死亡事案が発生し,マスコミを賑わせました。我々の行っている寄鯨(ストランディング)調査・研究が広く世に紹介され,多くの一般市民が関心を持って下さることがわかりました。

日本で発生する寄鯨事案の約1/4は北海道で発生します。北海道は漁業も盛んな地域ですので,鯨類と人類の共存を模索する上で世界的にも重要なバイオリージョンであると考えています。

この機会に,寄鯨調査の意義を知っていただき,多くの方からの応援の気持ちを受け止めて形にし,活動の継続につなげていければと考えています。

現在,SNHは軽トラックを所有していますが,これでは十分な調査ができません。この度のクラウドファンディングでは,調査専用車両のハイエースバン(中古)の購入費用の一部として100万円を目標としております。調査車両導入により,イルカの回収からクジラの現地調査まで,幅広く1台で対応できるようになり,調査効率が格段に上がることが期待されます。

是非,こちらのページにアクセスし,クラウドファンディングにご参加ください。情報の拡散,周知も大歓迎です。

キャンペーンページ https://syncable.biz/campaign/4261

寄鯨調査専用車(イメージ)
利用方法(イメージ)

北海道くじら講座第1回 博物館で泳ぐイルカ・クジラ

ストランディングネットワーク北海道の活動や調査・研究成果を広く知っていただくために,一般市民を対象とした講演会「北海道くじら講座」を開催します。

第1回は「博物館で泳ぐイルカ・クジラ」と題し,国立科学博物館 田島木綿子先生,足寄動物化石博物館 新村龍也先生をお迎えして,帯広で開催いたします。

浜に打ち上がったイルカ・クジラが,博物館で展示されるまでに,一体何が行われているのか。研究者たちが,その調査・研究についてお話しします。

ふるってご参加ください。

北海道くじら講座第1回
「博物館で泳ぐイルカ・クジラ」
日時:2022年11月19日(土)13:30-16:30
場所:道新ホール(北海道新聞帯広支社)
入場無料 予約不要
駐車場:道新の駐車場は使用できません。帯広市役所南側駐車場(休日無料開放)をご利用ください。

講演
ストランディングネットワーク北海道とは
  松石 隆
   ストランディングネットワーク北海道 理事長
   北海道大学水産科学研究院 教授
  
北海道に打ち上がるイルカ・クジラとその調査研究
  松田 純佳
   ストランディングネットワーク北海道 副理事長
   北海道大学水産科学研究院 学術研究員

海岸に打ち上がる海の哺乳類からのメッセージ
  田島 木綿子
   国立科学博物館動物研究部 研究主幹
   筑波大学大学院 准教授

足寄動物化石博物館にはなぜ化石ではない鯨が泳いでいるのか
  新村 龍也
   足寄動物化石博物館 学芸員

総合討論
  佐々木基樹(モデレータ)
   帯広畜産大学獣医学研究部門 教授
  講演者(パネリスト)

主催:特定非営利活動法人ストランディングネットワーク北海道
後援:北海道大学大学院水産科学研究院,帯広畜産大学,国立科学博物館,足寄動物化石博物館,帯広市教育委員会,北海道新聞帯広支社,日本セトロジー研究会
※本講座は,独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金,北海道新聞野生生物基金の助成を受けて実施します。



サイエンス・カフェ札幌「北海道いるか・くじら110番」

北海道大学 CoSTEP主宰で,第126回サイエンス・カフェ札幌「北海道いるか・くじら110番~鯨類研究を支えるストランディング~」を開催します。
詳しくは https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/event/25543

北海道いるか・くじら110番~鯨類研究を支えるストランディング~
日 時:2022年11月20日(日) 14:30~16:00(開場14:00)
場 所:紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン
北海道札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F(011-231-2131)
ゲスト:松石 隆,松田純佳
定 員:30名(中高校生以上)
参 加:無料、WEBによる事前申込制 申込はこちら
主 催:北海道大学 大学院教育推進機構 オープンエデュケーションセンター
科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)

※11/19 帯広開催の「北海道くじら講座」は事前申込不要,大きな会場をご用意しております。 https://kujira110.com/?p=5706

鯨類研究者奮闘記系(更新)

鯨類研究者の奮闘記が次々と出版されています。将来,鯨類研究者になりたいという人は,全部買って読破しよう!


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クジラのおなかに入ったら [ 松田純佳 ]
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他にもあったら教えてください。

2022年3月10日更新

humpe yan ストランディングネットワーク北海道会誌 発刊

2007年に創立したストランディングネットワーク北海道は,鯨類研究の基盤となるべく,継続的な活動を目指し,2021年よりNPO法人として活動することとなり,1年がたちました。

この度,日本財団から助成をいただき,会誌 humpe yanを創刊しました。

SNHが受報収集した,2007-2019年のストランディング記録(GBIFに収録した英語版),2020年,2021年のストランディング情報(詳細情報,日本語),アウトリーチ活動報告,ストランディング個体を用いた研究紹介,SNH標本を用いた学術論文,研究発表一覧(2007-2021年)が収録されています。

こちらからご覧ください。なお,SNH会員,標本配布先等関係者,関係機関には,冊子体を郵送いたしました。

年初にあたり

特定非営利活動法人ストランディングネットワーク北海道
理事長 松石隆

明けましておめでとうございます。

昨年は,NPO法人として活動した最初の年でした。はからずも,水産庁が日本鯨類研究所等に委託して,寄鯨調査事業として大型鯨類のストランディングを組織的に調査することとなり,今後の調査協力体制を発展について調整が必要となりました。ストランディングネットワーク北海道としては,従来の方針を曲げることなく,各方面と調整しました。その過程で,今までの道内での活動実績が評価され,鯨類の漂着等の事象があった場合は, 寄鯨調査事業対象種であるかどうかを判断するためにも,まずはストランディングネットワーク北海道に連絡するようにと,北海道庁より市町村,漁業関係機関に通達していただくことになり,より広く情報をいただけることになりました。また,今までの通報電話,メール,フォームに加え,Line公式アカウントでの受報も開始し,より簡便に通報いただける様になりました。

これらの結果から,2021年は合計99件のストランディング情報を受報しました。このうち全件で写真を入手,51件について,標本を確保しました。北海道大学函館のSNHメンバーのみならず,現地調査員や帯広畜産大学,東京農業大学のメンバーの積極的な関与,協力がなければ遂行しえませんでした。

年間受報件数99件は,2007年のSNH創立以来,最多となりました。1月は受報件数0件,2月は3件と少なかったのですが,7月に17件,8月20件,9月13件,10月10件とストランディングが集中的に報告されました。11月29日に3件の受報があるなど,年末まで受報が続きました。

2021年7月には,国立遺伝学研究所等が運営するJBIF日本生物多様性情報イニシアチブのご協力により,SNHのストランディング情報がGBIF-地球規模生物多様性情報機構のデータベースに登録されました。この海域の生物多様性情報として全世界から活用されることとなります。SNHのストランディング情報は,以下の引用をつけることで,学術論文でも使用することができます。
Stranding Network Hokkaido (2021). Cetacean Stranding Data in Hokkaido. Version 1.5. ROIS. Sampling event dataset https://doi.org/10.15468/f9y3xd accessed via GBIF.org on YYYY-MM-DD.

現在,正会員19名,賛助会員4名から会費を,11名の方より寄付,また標本を譲渡している研究機関から標本提供手数料等を頂戴して,運営しています。2021年度は日本財団・自然保護助成基金から助成をいただき,運営費をまかなうことができていますが,徐々に会費,寄付,標本提供手数料の比率を上げて,自律的に運営できる体制を整えたいと考えています。

今年も,引き続き,ご協力をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

SNH松田純佳の著書が発売

SNH松田純佳の著書が発売になりました。ストランディングネットワーク北海道誕生秘話も。

世界には91種のクジラが存在し、内41種を日本で見ることができます。本書では函館を拠点にストランディング調査(打ち上げられたクジラの調査)を行い、専門の調査機関を設立した著者の歩みを、数々の事件や研究の苦労、発見の喜び、恩師や協力者、後輩とのかかわりを通して紹介します。
1章 謎だらけのクジラ・イルカたち
2章 鯨類研究者への道
3章「イカ」の研究者に弟子入り!?
4章 修士課程での研究
5章 日本は鯨類パラダイス
6章 ストランディングの研究機関をつくる!


いっしょにいかがですか:出動!イルカ・クジラ110番 海岸線3066kmから視えた寄鯨の科学 (北水ブックス) [ 松石隆 ]