年初にあたり

特定非営利活動法人ストランディングネットワーク北海道
理事長 松石隆

明けましておめでとうございます。

昨年は,NPO法人として活動した最初の年でした。はからずも,水産庁が日本鯨類研究所等に委託して,寄鯨調査事業として大型鯨類のストランディングを組織的に調査することとなり,今後の調査協力体制を発展について調整が必要となりました。ストランディングネットワーク北海道としては,従来の方針を曲げることなく,各方面と調整しました。その過程で,今までの道内での活動実績が評価され,鯨類の漂着等の事象があった場合は, 寄鯨調査事業対象種であるかどうかを判断するためにも,まずはストランディングネットワーク北海道に連絡するようにと,北海道庁より市町村,漁業関係機関に通達していただくことになり,より広く情報をいただけることになりました。また,今までの通報電話,メール,フォームに加え,Line公式アカウントでの受報も開始し,より簡便に通報いただける様になりました。

これらの結果から,2021年は合計99件のストランディング情報を受報しました。このうち全件で写真を入手,51件について,標本を確保しました。北海道大学函館のSNHメンバーのみならず,現地調査員や帯広畜産大学,東京農業大学のメンバーの積極的な関与,協力がなければ遂行しえませんでした。

年間受報件数99件は,2007年のSNH創立以来,最多となりました。1月は受報件数0件,2月は3件と少なかったのですが,7月に17件,8月20件,9月13件,10月10件とストランディングが集中的に報告されました。11月29日に3件の受報があるなど,年末まで受報が続きました。

2021年7月には,国立遺伝学研究所等が運営するJBIF日本生物多様性情報イニシアチブのご協力により,SNHのストランディング情報がGBIF-地球規模生物多様性情報機構のデータベースに登録されました。この海域の生物多様性情報として全世界から活用されることとなります。SNHのストランディング情報は,以下の引用をつけることで,学術論文でも使用することができます。
Stranding Network Hokkaido (2021). Cetacean Stranding Data in Hokkaido. Version 1.5. ROIS. Sampling event dataset https://doi.org/10.15468/f9y3xd accessed via GBIF.org on YYYY-MM-DD.

現在,正会員19名,賛助会員4名から会費を,11名の方より寄付,また標本を譲渡している研究機関から標本提供手数料等を頂戴して,運営しています。2021年度は日本財団・自然保護助成基金から助成をいただき,運営費をまかなうことができていますが,徐々に会費,寄付,標本提供手数料の比率を上げて,自律的に運営できる体制を整えたいと考えています。

今年も,引き続き,ご協力をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。